「たねとりくらぶ」のつどい(第7回全国種苗研修会)を開催しました
7月9、10日の両日、神戸で「在来種保存の輪を広げ、交流を深めよう」と題して「たねとりくらぶ」のつどい(第7回全国種苗研修会)を、ひょうご在来種保存会、兵庫有機農業研究会、自給をすすめる百姓たちとの共催で開催しました。全国から約150人が集まり、懇親会をはさんで夜遅くまで議論を重ねました。
満席の会場
全国から集まった「たねとり」人たち
初日は2つの講演と各県での取り組みの報告、懇親会をはさんで夜9時からの分科会。2日目は、種苗交換会と山陽種苗・研究農場での圃場見学を行いました。
開会挨拶で、山根成人さん(ひょうご在来種保存会代表)は、食料自給率40%に対して野菜種子の自給率が10%しかないことに、「食料の大本は種子である、種子供給の安定を忘れては自給もない」と、一旦事が起きても播くべき種子がない現状を指摘されました。そうした中で、まだまだ「少数派」である種子に思いを寄せる人たちが集まり交流を重ねることの必要性を強調されました。
種子採りのちょっとした努力
「消えていく在来種を守り続けて」と題した木俣美樹男氏(東京学芸大学教授、雑穀研究会・ミレットコンプレックス代表)の講演は、宮崎駿氏の『シュナの旅』(チベット民話が題材の、麦を求めて王子が旅をするという民話)や『風の谷のナウシカ』第7巻を引いて始められた。日本では急激に生産が減少した雑穀栽培の現状とインドのように政策的に雑穀生産を増やしている状況を説明し、木俣氏が代表の雑穀研究会とミレットコンプレックスの活動を例に、在来の雑穀種の保存が生物多様性を守ることになると強調されました。
採種のコツを講演する
船越氏
兵庫の在来種の料理がずらり、懇親会
懇親会には、地元兵庫の在来種を使った美味しい料理が36種も並びました。武庫一寸ソラマメの福煮(甘煮)、明石タコを使ったタコ飯に天然酵母パンも。民族楽器ユニット天鼓(てんくう)の演奏も入り、豪華な懇親会でした。
明石タコのタコ飯
野菜の氷柱
武庫一寸ソラマメの福煮
民族楽器の演奏も(天鼓)
天然酵母パン
兵庫の在来種野菜の展示
「遺伝子組み換え稲の野外試験栽培」中止要請集会
を開催しました
上越市にある中央農業総合研究センター北陸研究センターの組み換えイネ野外栽培実験中止を求める集会が5月24日参議院議員会館にて開催されました。イスが足りなくなるほど多くの市民、生協関係者、消費者団体、有機生産者が出席。北陸農業センターとその上部組織の中央農業総合研究センターが説明者として出席しました。
中止を求める署名は短期間にもかかわらず9146筆が集まりこれを提出。またこの集会への賛同団体は75団体にも上りました。みなさま、署名、賛同ありがとうございました。
北陸農業センター側は農薬の害を指摘し、組み換えイネが減農薬になると有用性を強調。強い違和感を覚えました。食糧増産といって農薬を使う農業を推進してきた農水省が今度は組み換えを推進するのに農薬の害をいうのですから。
風評被害の責任は誰が取るのかという問いには答えず(答えられず)、風評はデマを流す人間がいるからで、それを特定して説得し、万全の対策を採るつもり。けっして風評被害は起こさないと強弁。これには会場出席者や同席した議員から無責任なことを言わないでとの声が上がりました。
これまで2回の説明会で多数の署名を提出し、反対、中止を求めたのにもかかわらず、この日、北陸農業センター側は大臣認可が下り次第、予定通り田植えを行なうとの立場を崩しませんでした。
ここにいたって有効なのは、態度を明確にしていないJA越後とJA上越の両農協が反対の態度を表明することです。多くの消費者から同農協へ反対表明をするよう声を届けてください。至急広めてくださるよう、お願いします。
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以下に組み換えの米は食べたくないと上越市の組み換えイネ野外栽培実験中止を要請してください。
JA越後中央 echigochu@e-ja.or.jp
JAえちご上越 soumu@ja-ej.com
上越市 info@city.joetsu.lg.jp
新潟県農業共同組合中央会 kikakus@ja-niigata.or.jp
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JAS法改定案に反対する申入書を農水省などに送りました
3月17日、日本有機農業研究会は、「JAS法改定案に反対し、有機認証制度の改善を求める申入書」を島村農林水産大臣、有機農業推進議員連盟、各政党宛てに送りました。
2005年3月17日
農林水産大臣 島村 宜伸殿
有機農業議員連盟御中
各党(自由民主党、公明党
民主党、日本共産党、社会民主党)御中
日本有機農業研究会
JAS法改定案に反対し、有機認証制度の改善を求める申入書
1 JAS法改定案の問題点
(1)今国会に提出されたJAS法改定案の中で有機農業に関係する部分は、認定機関の登録基準としてISOガイド65を引用していることです。しかし、それには、次の問題があります。
【問題点1】 登録基準が一気に厳しくなること。
ISOガイド65が認定機関に対する要求する事項は、組織、運営、品質システム、認証の授与・撤回等の条件と手続、内部監査とマネジメントレビュー、文書化、認証機関の要員、認証を求める申請、評価、査察等、詳細かつ多岐にわたります。このような事項を満たす体制を整えることは、ある程度の要員をかかえた企業的組織体でなければ難しいといえます。
現在、各地の有機農業団体が登録認定機関となっています。これは、わが国における経験の長い有機農業団体が地域に密着した形で有機JASの認定を行なっていくことが国内の有機農業の発展にきわめて重要であることから、主体的に取り組んできたものです。これらの有機農業団体の登録認定機関は、有機農家に良心的な安い認定料で有機JASの認定を行ない、料金面だけに止まらず、有機農家が認定を受けやすいように尽力してきました。
しかし、今回のJAS法改正でISOガイド65が引用されることにより、登録基準が一気に厳しくなれば、詳細かつ多岐にわたる事項を満たす体制を整えることができる団体はほとんどなく、これらの良心的に認証業務を遂行してきた登録認定機関が消滅してしまいます。消費者から信頼される有機JASや有機農業の普及のために政府に求められていることは、本来は、こうした地域に根ざした登録認定機関を育成していくことです。今回のJAS法改定におけるISOガイド65の引用による登録基準の変更は、それに逆行し、有機農業団体の登録認定機関が果たしてきた有機JASの普及・定着努力を無視するものです。
【問題点2】 ISOガイド65の引用で、有機JASの信頼度は高まらない。むしろ、小規模な認証機関の存在により、問題のある認証の発生を抑止し、信頼度を増すことが必要である。
ISOガイド65の要求する事項を満たす体制を整えるには、広域にわたる認証活動を行ない、多くの認証件数を処理し、多数の要員を抱えることが必要となります。規模を維持するために採算性をあげることも必要になります。他方、小規模の認証件数の少ない有機農業団体の登録認定機関の場合は、1件、1件の生産行程管理者等の状況を把握することが容易であり、違法行為の発生の抑止につながります。ISOガイド65をクリアしていることは、チェックの体制が形式的に整えられるというに過ぎず、きめ細かな把握を困難にし、有機JASの信頼度を高めるとはいえません。問題のある認定を多発させないためには、小規模の有機農業団体の登録認定機関が各地で活躍できるような政策をとることが重要です。
【問題点3】 コーデックス国際基準は、ISOガイド65に準拠することを義務付けていない。
国際規格に準拠することが求められるが、現行のJAS法の認証機関登録基準は、コーデックス国際規格に合致していないわけではなく、また、コーデックス国際規格は、ISOガイド65に準拠することを義務付けているわけではありません。それにもかかわらず、今回のJAS法改定ではコーデックス国際規格よりもはるかに厳しい条件を課そうとしています。有機農産物のJAS規格では、じつはコーデックス国際規格よりも下回っています(工場的大規模畜産のふん尿の使用や遺伝子組換え作物の残さの使用を認めるなど)。認定機関ではさらにISOガイド65を課すのは、大企業や企業的組織体の利益の代弁としか言いようのない改悪です。
【問題点4】 外国登録認定機関の要件が緩和され、輸入がますます増える。
これまでは、日本の有機JAS制度と同等の法制度を有する国の認定機関でなければ、登録外国認定機関となることができませんでした。しかし、今回のJAS法改定案では、日本の有機JAS制度と同等の法制度を有しない国の認定機関であっても、ISOガイド65を満たしさえすれば、登録外国認定機関となることができるようになります。
日本の有機JAS制度と同等の法制度を有しない国では、その認定機関を法的強制力をもって監視し、監督する当局すら存在せず、認定機関が監視・監督の目にさらされないため、安易な認証が発生する危険性が高くなります。しかも、今回の緩和で、外国の登録認定機関が増え、JASマークを貼付した輸入有機農産物がますます増えることが予想されます。農林水産省が公表したデータによれば、2003年度に有機JASマークが貼付された有機農産物は、34万4427トンですが、そのうち、外国産有機農産物は、29万7923トンと84.5%にも達し、国産有機農産物は、4万6504トンと13.5%に過ぎないありさまです。
現在でも、外国で認証された有機農産物については、真正のものかどうか監視し、チェックする実効性が確保できず、国内認証の有機農産物に比べ、はるかに甘いものになっています。外国での有機JAS認証が適正なものとなっていることを厳格にチェックする規制を早急に制定・整備することこそが必要です。
【問題点5】 外国認証には甘く、国内認証は厳しく監視するという差別的取扱いとなる。
現行の有機認証制度で改善すべきことは、上記(2)のように、外国での有機JAS認証が適正に行われていることを確保するための実効ある監視であり、その規制を強化することです。それにもかかわらず、農林水産省は、外国認証については緩和するが、他方、国内の有機JAS認証に対しては監視指導を強化しようとしています。これは、国内が著しく不利になる差別的取扱いであり、許されません。
(2)上記のとおり、認定機関の登録基準にISOガイド65を引用することは、地域に密着した形で有機JAS認証を行なっている有機農業団体が登録認定機関であり続けることを困難にするものです。有機農家に良心的な安い認定料で有機JAS認証を行ない、料金面だけに止まらず、有機農家が認定を受けやすいように尽力してきた地道な努力を無にしてしまいます。結局、企業的組織体の登録認定機関だけが残り、有機農家は、有機農業を知らないようなそれら登録認定機関による有機JAS認証を受けるほかなくなり、しかも、これまでよりずっと高い認定料をそれら登録認定機関に支払うことになってしまいます。このような有機JAS認証で、日本の有機農業は発展できるはずがありません。
すでに2003年度に有機JASマークが付された有機農産物のうち、国産有機農産物は13.5%に過ぎないありさまですが、外国登録認定機関の要件を緩和すれば、十分な監視・チェックのない中で外国での有機JAS認証が増加し、有機JASマークが貼付された外国産有機農産物がますます輸入されることになります。現在でも、外国で認証された有機農産物については、真正のものかどうか監視し、チェックする実効性が確保できず、国内認証の有機農産物に比べ、はるかに甘いものになっています。このため、外国での有機JAS認証が適正なものとなっていることを厳格にチェックする規制を早急に制定・整備することこそ求められているのに、今回のJAS法改定はそれに逆行することをしているのです。
2 本会の意見
(1)本会は、このような日本の有機農業を破壊するJAS法改定案に反対します。仮に、認定機関にISOガイド65を引用するとしても、有機農産物JAS規格及びその関係規格はその適用除外とし、従来の登録基準のままとすることを求めます。
(2)その上で、本会は、認証制度を次のとおり是正することを要求します。
①エコファーマーの認定においては認定料が徴収されるわけではないように、同様農家の有機農産物JAS規格やその関係規格の認定については、認定料を免除するか、又は米国のように認定料の公的助成を行う。
②高齢者については、有機認証が容易に受けられるよう、書類作成等の事務的手間を著しく軽減する措置をとる。
③生産者と消費者との信頼関係が構築されているため、認証によらなくても有機農産物の適正な取引が確保される生産者と消費者の「提携」のような取引形態については、認証を免除する。
④外国での有機認証が適正なものであることを確保する厳格なチェック規制を早急に制定・整備する。
(3)また、有機農産物の認証はJAS法とは別の特別法で行うよう、有機農業推進法(仮称)を制定することを求めます。
JAS法は、一般的な食品規制法であり、表示規制の観点からだけ見ても、有機農業の特性を反映することができない法制度ですので、有機農業全体をJAS法の対象から外すことが必要です。
有機農産物の基準・認証制度は、有機農業推進法(仮称)で規定し、有機農家や、有機農業を熟知した学識者がその制度運営に責任をもって携われるようにするとともに、同法により、有機農業を地域の中に位置付けて推進し、有機農家が安心して有機農業を営むことができる諸施策を早急に打ち出すことを求めます。
以上
日本有機農業研究会
〒113-0033 東京都文京区本郷3-17-12-501
電話 03-3818-3078
FAX 03-3818ー3417
第33回日本有機農業研究会全国大会・総会を開催しました
3月5日、6日の両日、福島県二本松市で「自給で輝く農と暮らし」を大会テーマにして、第33回日本有機農業研究会全国大会と総会を開催しました。
初日は、福島県男女共生センターにて開会式と基調講演、分科会が開かれました。会場は2階席まで埋まり、550名の参加者で満員となりました。主催者の開会挨拶(佐藤理事長)と来賓挨拶の後、2つの基調講演、大会アピールを採択しました。休憩の後、7つの分科会に別れ熱心な議論を行いました。
開会挨拶する佐藤理事長
2日目は8時から種苗交換会、9時から2分間スピーチ、9時半から日本有機農業研究会年次総会が開かれました。種苗交換会には、約20名の方から自家採種の種100種以上の出品があり盛況でした。出品されたは種は、すべて持ち帰られきれいになくなりました。同時に新規就農や操体法をテーマにした3つの並行プログラムも開かれました。また、総会では、本年度(2005年度)の活動計画の審議において、日本有機農業研究会の原点である結成趣意書に立ち戻り、運動を展開していくことが求められているとの意見が出され、今こそ、そうした運動の展開の方向性が求められるいることが確認されました。総会で採択された本会の本年度の活動の方向性は、次のとおりです。
<本会の本年度における活動の方向性>
本年度においては、日本有機農業研究会の原点である「結成趣意書」に立ち戻り、次の活動を中心に展開する。
1 提携と有機農業の発展
①食料・農業・農村基本計画の見直しの問題点を指摘するとともに、有機農業推進基本法(仮称)の制定、環境支払の導入等の実現を図る。
②有機農業を抑圧するJAS法改正案に反対する。
③有機農業の進展と食べ方の変革により可能な自給率の上昇を訴える。
④遺伝子組換えに対する反対運動を強力に展開し、資料を作成し、遺伝子組換えに対する規制強化を訴える。
⑤各地の提携の発展に資するため、本会の提携ネットワークの活動を促進する。
⑥本会の有機農業の基準の改定を図り、有機畜産の基準等を設定する。
⑦第3回生産者・消費者交流会を開催し、交流の促進と消費者への啓発を図る。
2 本当の食事と健康の回復
①本当の食事と健康の回復に関する消費者向けセミナーを全国幹事会に併せた形で開催するとともに、事業部のセミナーもそのような内容のもので開催する。
②食べ方の変革により可能な自給率の上昇を訴える。
③金属イオンと神経性疾患(BSE、うつ病など)の原因と対応策を探る。
④『健康の環』を刊行する。
3 積極的な会員募集活動の展開
①会員が少ない県で全国幹事会に併せた形で有機農業セミナーを開催する。
②大会開催時などにおいて受付人員を強化する等、新規会員の積極的な勧誘を図る。
③運営会員一人一人が新規会員の勧誘を図る。
④現在会員でない旧役員や有機農業運動に携わってきた人達の会員化を図る。
⑤会費徴収の自動振込みの早期実現を図る。
4 研修機能の強化
①有機農業サポート委員会において本会の研修システムのあり方を検討し、試行する。
②全国で先導的役割を担われている会員を有機農業アドバイザーとして認定し、その全国的なネットワークの形成を図る。
③足立区立都市農業公園の委託事業を推進し、本会の指導、研修能力を高める。
④有機農業の参考書を作成するとともに、学校からの有機農業インターンシップの受入を促進する。
⑤本会有機農業アドバイザー、学識者等を活用し、学習会を開催する。
5 自家採種の推進と有機種苗の提供
①自家採種運動を推進するとともに、優良種苗育成者を活用し、種苗ネットワークの活動を強化する。
②優良種苗、推奨種苗の提供体制を整える。
③有機種苗が提供できる体制をNPO法人有機農業推進協会と共同してつくっていく。
第33回福島二本松大会アピール
自給で輝く農と食と暮らし 地域づくりの基礎に有機農業を
食料・農業・農村計画の見直しが「農政改革」として声高に言われているが、新基本法で追求しようとしたはずの食料自給の向上や自給と一体となった食べ方の変革への歩みはむしろ後退している。環境に調和した有機農業もかえりみられず、みかけだけの生産効率を追う大規模集中、工業的畜産へ向かう道がいまだに信奉されている。
私たちは、自然の営みのなかで生命を大切に育てる真の農業を学び、その生きた作物を大切な子供たちや農と食のつながりを学んだ理解ある活用者(消費者)の生命の糧とする農を基本としてきた。そして、そのような有機農業を地域づくりの基礎に据えている。二本松岳温泉における「一旬一品」運動にみるように、生ゴミを農家が活用して堆肥にし、その堆肥で土づくりを行い、それにより生産した野菜を使うというような、地域における循環と自給を各地で実践し、成果をあげている。
太陽のふりそそぐ山あいの田畑や森林も、山地での酪農も、ひとたび有機農業のまなざしを当てれば、輝き出す。平場の農業も、暮らしも、じつは、山あいでのしっかりした農業に守られている。平場もまた、土の健康を守り、環境を守らなければならない。
私たちは、農は、理解ある消費者と正直に生産に取り組む生産者のあいだの信頼関係によってのみ継続し、進歩するものと考えている。同時に、このような自給と循環の地域づくりは、その基礎に有機農業を据えた政策・施策こそがこれを実りあるものにし、いっそう発展させると考えている。今回の大会の地、福島では、県も市も積極的な取組みを行っており、JAをはじめ多くの団体が活躍している。
安達太良山を仰ぎ、阿武隈川の流れる豊かなこの地、福島県二本松で第33回大会を開催するにあたり、私たちは、ほんとうの農と食と暮らしを求め、地域づくり・国づくりの基礎に有機農業を据えることが、風土を生かし、豊かな自給と循環を達成し、21世紀に生きる希望を与えるものであることを改めて訴える。
2005年3月5日
第33回日本有機農業研究会大会
<二本松大会の写真>
3月5日、6日の両日、福島県二本松市で「自給で輝く農と暮らし」を大会テーマにして、第33回日本有機農業研究会全国大会と総会を開催しました。
前日の雪も上がり晴天の中、会場の福島県二本松市の福島県男女共生センターには、全国から550名の参加者が集まりました。大会は、主催者の開会挨拶(丹野大会委員長、佐藤理事長)出始まり、佐藤福島県知事、ツルネン・マルティ有機農業推進議員連盟事務局長(参議院議員)、二本松市長(代理)、安田JA5連会長の皆さんから来賓ご挨拶をいただきました。
初日は、開会式に引き続いて2つの基調講演と7つの分科会が開かれました。
夜には、会場を岳温泉に移し懇親会へ。会場には地元二本松有機農業研究会の皆さんの古代米や、大根、ニンジンを使った料理が並び、盛会でした。
2日目は8時から種苗交換会、9時から2分間スピーチ、9時半から日本有機農業研究会年次総会が開かれました。種苗交換会には、約20名の方から自家採種の種100種以上の出品があり盛況でした。出品されたは種は、すべて持ち帰られて日本各地に散っていきました。2分間スピーチでは、絶妙な司会に爆笑の渦も。
大盛況でした! 有機農業入門講座2005年
「こんなにもたくさんの参加者があるとは思わなかった!」。主宰した青年部のスタッフも、そして参加者もビックリした「有機農業入門講座2005年」。2月26日、開場の国民生活センター(東京都港区)は、150人以上の参加を得て熱気にあふれていました。「実家が兼業農家。ゆくゆくは跡を継ぎたい。できれば有機農業で……」という中年男性、「有機農業が正しい生き方だと思う。就農する決心をした。このあと栃木の帰農志塾で研修を受ける予定」という神戸から参加した20代の女性、「この3月で仕事をやめて、山梨で農業を始めることにした」という30代の男性など、それぞれの「農」に対する熱い想いを内に秘め、実践者の話に熱心に耳を傾けていました。
第32回日本有機農業研究会全国大会が開かれました
「千年のすこやかな”いのち”の継承を--遺伝子組換え作物はいらない! 広げよう有機農業!」をテーマに、2月14日、第32回日本有機農業研究会大会が全国から生産者・消費者など550人を集めて、愛媛県今治市で盛大に開かれました。
えひめにちなみ、基調講演は3人とも女性。「千年の森をつくる暮らしをつくる」鶴見恵子さん、「緊急報告・遺伝子組み換え作物の現状と問題」安田節子さん、「学校給食と食育」丹下晴美さん。すばらしい講演でした。
「すこやかな”いのち”の継承」「広げよう!有機農業」と呼びかける大会アピール、そして、国内栽培の瀬戸際に立っている遺伝子組換え作物について、「国内栽培をやめさせる」特別決議を採択しました。
北海道有機農業研究会からは、北海道(農政部)が出している中止要請を含む厳しい規制条例案への支持を訴える文書が大会分科会へ届きました。なお、特別決議は、翌16日、同大会の名の下に農林水産大臣に送付されました。
○第32回日本有機農業研究会大会アピール
霊峰石鎚山を仰ぎ、瀬戸内来島海峡を臨む、ここ愛媛県今治の地に全国の自然と命を大切にする仲間が集い、千年のすこやかな「いのち」の継承と、遺伝子組み換え作物の栽培阻止、学校給食と食育の大切さについて学び、語り、これからの行動を決意します。
農の衰退は集落の崩壊を招き、人間を病み、命を脅かします。農の構造改革とは、担い手農業で海外の大規模農家と経済性で競うことではなく、経済一辺倒の農業を「いのち」や「生存」、「持続」へと転換することであり、このことは有機農業を広げていくことにほかなりません。
私たちは、ここに次のことを大会アピールとして、全国に発信します。
千年のすこやかな「いのち」の継承を!
一つ、私たちは現在の自然が、森が、環境が、更新を繰り返しながら千年の後も継承されるようそれを守り、育てていきます。
遺伝子組み換えはいらない!
一つ、利潤と経済目的で人為的に遺伝子を操作し、種を越えた作物を作り出し、自然界に「交雑」という汚染を拡大する遺伝子組み換え作物の廃絶のために地球規模で考え地域レベルで栽培阻止条例の制定や監視を強化し、不買運動を展開します。
一つ、私たちは、BSEや口蹄疫、鶏インフルエンザなど食のグローバル化による危険の拡散を阻止するため、地域固有の品種や作物を守り、育て、継承していく自家採種と有機種苗の育成に努めるとともに、有機で生産された地域のものを食べる「身土不二(=地産地消)」を推進します。
広げよう有機農業!!
一つ、私たちは千年の命の継承と子供たちのフードリテラシーの向上のために、有機農業による食育の推進、有機農産物の学校給食への導入を進め、財政再建や経済合理性の追求を目的とした安易な学校給食の民営化や民間委託に反対します。
一つ、私たちは地域と地域農業を大切にし、地域における有機農業を広め、産消提携をとおして、協同や地域間提携の取り組みを進めることにより食の安全・安心の確保と地域内自給率の向上を図ります。
以上、大会アピールとして全国の農に携わる人々、食に携わる人々、それを消費する人々、そして自然と命を大切にする仲間の皆さんのに呼びかけます。
2004(平成16)年2月14日
第32回日本有機農業研究会全国大会・えひめ大会
○特別決議
遺伝子組み換え作物の国内栽培をやめさせよう!!
生物多様性条約のカルタヘナ議定書に関する国内法の施行を前に、国(農林水産省)は、遺伝子組み換え作物の野外での実験栽培に関する指針案を公表し、通常の品種との距離を大豆10メートル、イネ20メートル、トウモロコシ600メートル、ナタネ600メートルをとればよいと示した。だが、隔離距離の設定では、交雑や混入がもたらす「遺伝子汚染」は防げない。自然の営みは単純ではないからである。すでにアメリカ、カナダでは、組み換え遺伝子による汚染が回収不能にまで広がっている。私たちは、実験・実用を問わず野外での遺伝子組み換え作物の栽培に反対である。
ゆたかな自然のなかで、何千年ものあいだに、多様な作物や品種がつくられてきた。私たちは、遺伝子組み換え品種を必要としないばかりか、除草剤を作物の上から浴びせたり、殺虫性の毒素を生成するような、利益と効率優先の破壊的な農法をとうてい認めることはできない。しかも、特許をもつ企業による農民・農業・農村の支配と横暴をみれば、そのような種子をかけがえのない農地に播かせてはならない。ひとたび栽培されれば、安全・安心、環境と調和する農と食の根底が崩されてしまう。
国は、こうした危機を真正面から捉え、北海道や滋賀県、茨城県の厳しい栽培規制条例案を支持し、各地の生産者、消費者の声や意見書に真摯に耳を傾け、国内栽培をさせないとする立場に立つ規制を率先してつくるべきである。
いのちの食べものとして受け継がれてきた在来の大豆や菜種、稲や麦を植えよう。そして、それらの種子やそれとともにある農法・文化を守り育て、すこやかな「いのち」を次世代に引き継いでいこう。
2004(平成16)年2月14日 第32回日本有機農業研究会全国大会・えひめ大会
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